第9章 ○気付いた気持ち
エルヴィンは自分の背中を冷や汗が伝うのを感じる。
だが、その戸惑いは表には見せず、アランに問いかける。
「アラン、ソフィアが出て行ったのはどれくらい前だ?」
「確か、3時間ほど前です。」
「ただ買い物が長引いているという可能性は?」
「それも確かにあります。…でも、幼馴染の勘っていうか、嫌な予感がするんです。」
アランが言っていることは恐らく本当だろう。
勘というのは非常に不確かなものだが、
この二人には不思議とその感覚が本物だと信じ込ませる雰囲気がある。
もしそうだとしたら、一刻も早くソフィアを探し出す必要がある。
「アラン、リヴァイ、今すぐソフィアの捜索を開始する。だが、あまり事は大きくしたくない。他の者には内密に動くように。」
「はい。」
「了解だ。」
「アラン、君は一応怪我人だ。無理はしないように。」
「はい、団長。」
まずは兵舎内から捜索が行われた。
たが、かなりの時間が掛かるかと思われたソフィア探しは
呆気なく終了することになる。
誰もが微かに予感していた最悪の形で。