第2章 繰り返された惨劇
「おじさん、アラン、先に死んでしまう私を許してください。おばさんと一緒に先に待ってます。」
不思議と涙は出なかった。
これから自分が向かうところにフレアがいてくれるならば、むしろ本望だ。
すうっと目を閉じ、心臓の音が刻まれるのを耳に刻む。
短かったが、楽しい人生だった。
最後に一つだけ願いが叶うなら、来世でもみんなと一緒に暮らしたい。
巨人などいない平和な世界。
そうだ、みんなで海に行きたい。
そして、沢山の塩をとってフレアに美味しい料理を作ってもらおう。
そしたらみんな幸せだ。
私はこれから幸せになるのだ。
ハー、ハー
巨人の息遣いが聞こえる。
いよいよだ。いよいよ死ぬ。
さようなら、アラン、おじさん、エレン、ミカサ、アルミン。
どうか無事でいて。
祈りを空に届けるように両手を組み、天を仰ぐ。
その時だった。
「ソフィアっ!死んではいけない!早く逃げろ!」
「ハロルド、おじ、さん…?」
小太りのハロルドが必死に声を荒げ、ソフィアの元に走ってくる。
「おじさん来ちゃダメっ!!お願いだから止まって!」