第2章 繰り返された惨劇
「おばさん…?」
息を切らしたソフィアが目にしたのは、壁の破片によって右半身を失ったフレアの姿だった。
「…いやっ、いやだっ、そんな、おばさん!どうか目を覚まして…っ!」
どんなに声を張り上げてもフレアはもう動かない。
今朝は温かいパンとスープを作ってくれた。少し外に出たくなって、アランを連れて家から出た。
"いってらっしゃい、気をつけてね。"
"はーい!"
これが最後の別れになるなんて思いたくもなかった。
「神様ぁ、おばさんを助けてっ…、お願い…!神様ぁぁあ!!!」
普段あまり感情を露わにしないソフィアから、喉がはち切れそうな叫び声が溢れる。
だが、運命は残酷だ。
ドスドスと音を立てソフィアの元に近づいてきたのは、神などという救世主ではなく、…巨人だった。
「…っああ。」
ソフィアを視界に捉えた巨人はニタリと不気味に口角を上げ、ゆっくりとソフィアに向かって手を伸ばす。
ああ、私は死ぬのか。
ソフィアの体は恐怖に震えていた。
だが、それは自分よりも大きな巨人という存在に対してであって、決して死ぬことに対するものではなかった。