第9章 ○気付いた気持ち
「薄々感じてはいたが、…まさか、本当に惚れちまうとはな。」
「まだ、自分でも確証は持てていないがな。」
「どうして遠慮する必要がある。好きなら好きと認めればいい。」
「遠慮しているわけではないよ。
……でも、私はもう人間ではない。」
人間の皮を被った悪魔なんだよ。
今まで何人もの命を犠牲にして生きてきた。
そんな俺が自分が愛している女には生きてほしいなど虫が良すぎる。
…亡くなった兵士に顔向けできないんだよ。
「…エルヴィン。」
「彼女だって嫌がるだろう。こんなに汚れた男に愛されるなど。……だから、この気持ちを完全なものにすることはしない。それがきっと一番良い方法だ…。」
自嘲気味に笑いながら、整えた髪をクシャッ…と握る。
使える駒があるなら俺は容赦なく使う。
私に寄せられる尊敬の眼差しを利用して巧みに操り、彼らを屈強な兵士へと変えていく。
そして、その駒の殆どはあっという間に命を散らす。
「…私は彼女のような人には愛されることはない人間なのかもな。」
珍しくエルヴィンが弱音を吐く姿に、悲しいような、それでいて少し嬉しいような。
リヴァイの心の中では色々な感情がひしめき合っていた。