第9章 ○気付いた気持ち
その時、エルヴィンとリヴァイは執務室で話し込んでいた。
エルヴィンは紅茶を啜ってから、リヴァイに尋ねる。
「それで、ソフィアの働きはどうだった。」
それに対して、リヴァイは少し眉間に皺を寄せながら答えた。
「…想像以上だ。巨人に対する戦術はもちろん、身のこなし方や立体起動の扱い方も申し分ない。言うなれば"逸材"だ。」
「それなのに、どうしてそんな顔をしている。」
「ソフィアは優秀だ。ただ、心が弱い。」
「……と言うと?」
「自分の仲間に対する思い入れが強すぎる。」
ソフィアが兵士になった理由は、
里親を巨人の出現によって亡くしたことだ。
それが原因なのか、自分にとって大切な存在を傷つけた者には、自我を忘れて攻撃する。
「あいつの馴染みの男が居ただろ。」
「アラン・ベネットか。」
「あぁ、あいつが今回の壁外調査で負傷した時、ソフィアは我を忘れたように巨人を攻撃し続けた。…その巨人がとっくに死んでるのにも気付かずにな。」
恐らく誰よりも命を失うことを恐れている。
困ったことに、自分以外のな。