第9章 ○気付いた気持ち
あれからソフィア達は無事壁内へと帰還し、調査兵団の壁外調査は幕を閉じた。
アランは肋骨を左右2本ずつ骨折。
ソフィアは巨人の蒸気を浴びたことで手に重度の、顔や首に軽度の火傷を負った。
アランは身体を動かすのは禁止され、ソフィアも両手が使えないため訓練を禁止されていた。
「ねぇ、アラン。」
「どうした?」
「つまらない。」
「そう言われても、俺には相手をしてやることができないからな…。」
アランは困ったように微笑んで、膨れているソフィアの頭を撫でる。
「アラン、それ気持ちいい。」
「そうか、気に入ってもらえたみたいで光栄だ。」
「でも、つまんない。」
「おい。…そうだ、中庭に行ってきたらどうだ?」
「中庭?どうして?」
「ソフィアは花が好きだろ?訓練兵になってからは、聞かなくなったが、その前はよく花の話を聞かせてくれた。だから、中庭にある花壇を見てきたらいいと思ってな。」
「そういえば、手入れされてない花壇があったような…。」
「それに部屋の中に閉じこもっているより、外に出た方が気分も晴れるだろう。」
「でも、アランが一人になっちゃうじゃない。」
「俺は一人でも構わない。ほら行ってこい。」
「…分かった。アランにも綺麗なお花買ってくる。」
「あぁ、楽しみにしてる。」
「じゃあ、行ってきます。」
「気をつけろよ。」
「はーい。」
間延びした返事をしながらソフィアは部屋を出て行った。
アランはその様子を見ながら、クスクスと笑っていた。