第8章 壁外調査
全員が荷造りを終え、馬に跨りエルヴィンの指示を待つ。
すると、隊列の中央部から白馬に乗ったエルヴィンが姿を現した。
「総員撤退!カラネス区へ帰還せよ!!」
往路と同じくそれぞれの配置につきながら、陣形を展開していく。
その時、ソフィアの頬にポツリと水滴が伝う。
空を見上げると、雨が降り出していた。
それは次第に激しさを増し、兵士達の視界を妨げていった。
「…これは、まずい。」
土砂降りの中、ポツリと呟く。
視界が悪く巨人が現れても、気付けないかもしれない。
それに加えて、雨は外套を濡らす。
その冷たさは体温を奪い、雨によって質量が増した外套は私たちから体力を奪っていった。
一刻も早く、カラネス区に帰還しなくては。