第8章 壁外調査
兵士達が目的地に到着したのは日が沈みかけていた頃。
運搬班が荷馬車で運んできた補給物資を、
いずれ来るウォール・マリア奪還作戦のために、この拠点に設置する。
あとはカラネス区へ帰還するのみだ。
だが、壁外調査からの帰還は大きなリスクを伴う。
兵士や馬が体力を消耗しているだけでなく、立体機動装置のガス切れや刃の不足など物資が足りなくなっていることがあるからだ。
長居する必要は一切ない。
作戦を終え次第すぐに撤退することで、巨人との遭遇率を少しでも下げるのだ。
日が完全に落ちる前に帰還しなければ。
それに、もう一つ懸念しなければならないことが。
「雲行きが怪しい。」
「あぁ、これは一雨来るかもしれないな。」
拠点で無事再会したアランと空を見上げる。
先程までの青空が嘘のように、どんよりとした灰色が空を覆っていた。