第8章 壁外調査
「開門始め!」
その声を合図にウォール・ローゼの門が、ギギギ…と音を立てながら上がっていく。
風が門からなだれ込み、兵士達の外套を揺らした。
「これより!壁外調査を開始する!前進せよっ!!」
エルヴィン団長の喚声を合図に、兵士達が馬で一斉に駆け出した。
ソフィアは黒い馬に乗ったリヴァイに先導され、市街地を走る。
ここは、かつて自分達が暮らしていたウォール・マリア。
目線を上げれば、右斜め前に、そして前方にも巨人が姿を見せる。
あぁ、懐かしい。
ハロルドおじさんとフレアおばさんを一瞬にして亡くしたあの日。
己の非力さを憎んだあの日。
もう同じ過ちは繰り返さない。
私は兵士になり強くなった。
おじさん、おばさん、そこから見ててね。
きっと、人類の平和のために立派に戦ってみせます。
「巨人は援護班に任せて前進しろ!進めぇ!!」
今日もまた人類は恐怖から逃れるために声を上げ、恐怖を絶やすため戦う。
兵団はまもなく市街地を抜け、壁の外へ出ようとしていた。