第5章 調査兵団入団式
6時半を回った頃に部屋に戻る。
ちょうど同室のアリアナが目を覚ましたところだった。
「おはよう、アリアナ。」
「…んっ、おはよ、ソフィア。今日も朝からトレーニング?」
「そう、今日は少し控えたけど。」
鍛錬で汗を吸った服を脱ぎ捨てる。
女の子同士だから問題ないかと思ったが、やたらと視線を感じる。
「…何かおかしいところでも?」
アリアナに尋ねると、アリアナはニヤニヤしながら私の胸を指差す。
「いやー、随分と立派な胸だなと思って。」
「…はっ?」
「羨ましいなー!可愛い上に、スタイルも良いなんて!」
「ちょっと、変なとこ見ないでよ!」
「ハハッ、ごめん、ごめん。早く準備しないと遅れちゃうよ。」
「…もう、向こうで着替えてくる。」
「いってらっしゃーい。」
シャワールームで身に付けているものを脱ぎ、軽く水浴びする。
そんなに大きいのかな…。
普通の女性からすれば褒め言葉であっても、ソフィアは兵士。
壁外でより速く動かなければいけないソフィアにとって、大きな胸は障害物とさえ思われた。
「こんなことで悩んでても仕方ないか…。」
水浴びを終え、兵服に着替える。
ジャケットを羽織ると、自分が兵士の一員になれたような気がして気分が高揚した。
鏡に背を向け少し振り返る。
「これが、自由の翼…。」
自分はこれから、人類の自由のために心臓を捧げる兵士になる。
おじさん、おばさん、見てますか?
私は今日、調査兵団の兵士になります。
どうか、この命が尽きるまでそこから見守っていてください。