第5章 調査兵団入団式
「朝から感心だな。」
「……へっ?」
聞き覚えのある声に思わず間抜けな声が漏れる。
腕立ての姿勢を崩し振り返ってみると、そこにはまだ私服姿の髪の乱れたエルヴィンがいた。
「だ、団長…!」
ソフィアは急いで立ち上がり敬礼をする。
エルヴィンはそんなソフィアをにこやかに見つめ、その頭を撫でる。
突然のエルヴィンの行動にソフィアは戸惑う。
「あ、あの、エルヴィン団長…?」
「直って構わない。少しこのままでいさせてくれないか?」
眉毛を困ったように下げたエルヴィンに見つめられる。
まるで計算したような表情だったが、断ることなどソフィアにはできなかった。
「こ、こんな私の頭で良ければお好きにしてください!」
エルヴィンは少し目を見開いたが、すぐにその目を細め頭を撫でる。
始めこそ緊張していたソフィアだったが、エルヴィンの大きな手が動く度に包み込まれるような安心感を覚え、終いには目を閉じてエルヴィンの動きを感じていた。