第5章 調査兵団入団式
調査兵団入団初日。
まだ皆んなが寝静まっている頃、ソフィアはベッドからそっと抜け出した。
そのまま兵舎の中庭に向かう。
ソフィアの目的の場所は、中庭の隅にある花壇の前だ。
先日、たまたま見つけたこの場所。
兵士の目から隠されたように存在している花壇には、もう何年も手入れしていないのだろうか、すっかり枯れきってしまって面影を失っている植物たちが植えられていた。
「よしっ、始めるか。」
ソフィアはここを新しい訓練場所として選び、鍛錬を積むことにした。
早速、うつ伏せの体制になったソフィアは、地面に腕を立てて、極限まで上体を地面に近づける。
今日は少し減らして200回までにしよう。
入団式に遅れては元も子もない。
ソフィアはもう一度、自分の体を支え直すと、数を一つずつ数えながら腕立てをしていった。
すると、近くからザッ、ザッと足音がする。
ソフィアもその足音に気付いていたが、ここが見つかるはずはないと高を括っていたので鍛錬を止めはしなかった。