第4章 出会い
「俺のことも知ってたのか。」
アランは驚いた様子で呟いた。
「エルヴィン団長か…、俺はとてもあんな風にはなれそうにないな。」
アランの口から乾いた笑いが漏れる。
そこにはエルヴィンに対する尊敬と少しの皮肉が込められていた。
一瞬にしてソフィアをあんな表情にさせることなど、自分には一生かかってもできそうにない。
胸が少し苦しい。
この感情は何だ?
胸をグルグルと渦巻き、支配する、この感情は。
経験したことのない苦しみにアランは戸惑うばかりだった。
「どうして団長になる必要があるの?アランはアラン。それで十分だよ。」
俺の心情を察してか、それとも単なる天然か。
ソフィアは、さも当然のように俺の欲しかった言葉を紡ぐ。
やっぱりソフィアには敵いそうにない。
「…そうだな、ソフィア。もう、帰ろうか。」
「うん。今日は乾杯だ。」
「お前は飲んじゃダメだ。」
「えー!?どうしてー!!?」
ソフィアの年相応の声が響く。
アランはそんなソフィアを笑い、二人で並んで歩く。
もう日は沈みかけていた。