第4章 出会い
ソフィアはまだ15歳。
立派な兵士だからといって、心はまだまだ未熟だった。
誰かにこうして褒められ、必要とされること。
ましてやその相手がエルヴィンとなると、その嬉しさは倍増する。
ソフィアは30cm以上、上にあるエルヴィンの顔にグッと自分の顔を精一杯近づける。
「おい、ソフィア、失礼だろ。」
「いいんだ。…どうしたんだ、ソフィア?」
突然のソフィアの行動に少し驚いたエルヴィンだったが、すぐに平常を取り戻しソフィアに優しく声をかける。
すると、ソフィアはその大きな瞳に涙を溜めエルヴィンを見つめる。
「団長、私とても幸せです。あなたという素晴らしい方が私を知ってくださって、そして褒めてくださる。こんなに幸せなことはありません。」
「ハハッ、買い被り過ぎだよ。私はそんなにできた人間ではない。」
「いいえ!私はそうは思いません!今日ここであなたに頂いた言葉をとても誇りに思います!」
この時、エルヴィンの気持ちを言葉にするなら戸惑い。
こんなにも純粋な瞳を向けられたのはいつぶりだったか。
こんなにも若い娘が、自分の心を掻き乱す。
初めて味わう感触だった。
エルヴィンは自分の気持ちを誤魔化すように、ソフィアの美しい銀髪をくしゃくしゃと撫で回す。
「そうか、…それは私にとっても嬉しい限りだ。これからは人類のためにその心臓を捧げてくれ。」
「はい!団長のおっしゃる通りに!」
ソフィアはエルヴィンに向かって素早く敬礼をし、アランもつられるように右拳を左胸に当てる。
エルヴィンもまた、新兵二人に敬礼をする。
「二人とも期待しているよ、ソフィア、アラン。」
「……!」
エルヴィンは二人の名前を呼ぶと、そのまま背を向けて歩き出した。