第4章 出会い
「うっ……!」
嗚咽を漏らしながら集団から離れていった者を最後に、人の波が収まる。
ここに残ったのはソフィアやアランを含め、30名ほどだろうか。
エルヴィンは壇上からソフィア達を見下ろし、一つの質問を投げかける。
「君達は、死ねと言われたら死ねるのか?」
ヒューという風の音が聞こえる。
「し、死にたくありません!」
勇気ある新兵の声。
怯えながらも、懸命に己の選択を消化しようともがいている。
そんな新兵の本音に、エルヴィンは張り詰めていた顔をフッと緩める。
「皆…、良い表情だ。」
エルヴィンは一度緩めた表情を再び引き締める。
そして素早く右の拳を鍛えられた左胸の心臓のあたりに構え、高らかと宣言する。
「では今!ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる!これが本物の敬礼だ!
心臓を捧げよ!!」
「「「「ハッ!!」」」」
私達の物語はまだ始まったばかり。
これからどんな出来事が待っているのだろう。
ソフィアはエルヴィンをじっと見つめる。
エルヴィンもまた、ソフィアの目をじっと見つめる。
この出会いは運命か、必然か。
それは誰にも分からなかった。