第2章 繰り返された惨劇
「ソフィア…?無事だったのか?」
「アラン…。」
アランの姿がやけにぼんやりして見える。
ソフィアの声は驚くほど掠れていた。
それでもソフィアの肉声を聞いた次の瞬間、アランはソフィアの細い体をできる限りの強い力で抱きしめた。
「ソフィア…、ソフィア…!!俺は一度はお前を諦めかけた…、誰よりもお前を守ってやらなくちゃいけなかったのに…!」
「アラン、もういいの。」
「でもっ…!」
「おじさんとおばさんが死んだ。」
「……えっ?」
途端、アランの胸のところに熱い水滴が広がっていく。
「おばさんは壁の破片に右半身を潰されて、おじさんは私を庇って巨人に食べられた。」
「ソフィア…。」
アランにとって親のような二人が同時に死んだことは悲しい以外の何物でもなかった。
だが、それ以上にソフィアのことが気がかりでならなかった。
感情の読み取れない抑揚のない声。
だが、それに反して大きな瞳からは止めどなく涙が溢れている。
「ソフィア、とりあえず船に乗ろう。」
ダランと垂れたソフィアの腕を引き、船へ乗せる。
これで、ひとまず避難できる筈だ。