第2章 繰り返された惨劇
「ねぇ、アラン。」
「どうした?」
アランはソフィアの肩をしっかり抱きしめ、彼女の言葉にそっと耳を傾ける。
「おじさんがね、私は誰よりも人々に寄り添える兵士になる、って言ったの。」
「…そうか。」
「私ね、…調査兵団にはいる。」
「…本気で言っているのか?」
アランは自分から出た随分と威圧的な声に驚いた。
こんな自分の意見は聞き流してほしい。
それでも、言わずにはいられなかった。
調査兵団に入るということは、命を失う確率の方が高いということだ。
孤児院にいた頃から、ソフィアの言葉が、存在が俺の全てだった。ソフィアは、俺の守るべき存在であって、希望だ。
ソフィアを失えば俺は生きる意味を失ってしまう。
「本気だよ。アランは反対する?」
答えを分かりきっているような声色だ。
俺が一度でもソフィアに反抗したことがあっただろうか。
「…っはぁ、分かったよ。ソフィアの意志を尊重しよう。」
「ありがとう、アラン。」
「その代わり、俺も調査兵団に入団する。」
「…なぜ?」
「ソフィアをこの手で守るため。俺は強くならなくてはならない。そして、これは俺の意志だがソフィアのそばにいたい。」
ソフィアはしばらく目をパチパチと瞬かせ、そして嬉しそうに笑った。
「…ふふっ、そっかぁ。なら、ずっと一緒だね。」
「あぁ、ずっと一緒だ。」
別に恋人同士ではない。
でも、お互いがいなくては成り立たない。
我ながら不思議な関係だ。
死が二人を別つまで、共に闘おう。