第3章 真選組慰安旅行篇
②
雪乃達は、慰安旅行ということで温泉旅館に来ていた。
まぁ、実際にはとあるお偉いさんの弱みを握っている松平が「貸切にしろ」
と脅し…頼んだのだが。
「わぁー…大きい旅館ですね!!」
「そりゃ、どこぞのお偉いさんとこのだからな。」
眼を輝かせる雪乃を見ながら、土方は答える。
だが、其の真の事実を雪乃は、知らない。
土方が雪乃と話をしていると、突如後ろから蹴りを入れられる。
「うぉ、っ痛って!!何すんだ!!」
そのまま雪の上に倒れた土方は、後ろを振り向く。
其処には、真っ黒な笑みをした沖田が居た。
そして、其の横には同じような笑みをした銀時が居た。
「何俺達が見ていないからって、イチャついてんでぃ、土方ァ。」
「ねぇ、沖田君。此処で殺っちゃおうか?丁度雪も積もってるし、証拠隠滅には…ねぇ?」
と、土方殺しもとい、「ドS談義」を始めた。
「上等だ、御前らも今此処で…って、近藤さんは?」
二人は土方の言葉を聞いて、気付く。
確かに何処にもいない。
すると、雪乃が「あの…」と気不味そうに手を上げる。
「近藤さんなら…車に乗ってる途中にお妙さんを見かけて、尾行に勤しみに行きました…。」
と、3人に告げた。
3人は、
(あの、ゴリラ…!!)
と、呆れるような仕草を取った。
「うぉー、流石税金泥棒。結構設備良い所取ってるじゃねぇか。」
銀時が、荷物を置きながら驚くように言う。
「誰が税金泥棒だ。」
「え、御前だろ。…あー、でも雪乃は例外。」
と、そんな会話をしながら土方と沖田も荷物を置く。
ふと、土方は、雪乃が居ないのに気づく。
近藤とは違い、荷物は有るのだが見当たらない。
「おい、雪乃は?」
と、訊ねると沖田は、
「隣の部屋でさァ、もうすぐ出てくる筈ですがねぃ…あ、出てきた。」
と、襖の方に眼を向けながら言う。
出てきた雪乃は、桜の浴衣姿だった。
「に、似合いますか?」
と少し隠れるように出てきた雪乃に、男たちは
(当たり前だろ…!!)
と感じ、顔を手で覆うようにした。
感想は聞けずじまいだったが、結局雪乃は男達の視線を釘付けにしたのであった…。