第4章 お見合いパニック篇
「お見合いと困惑する男達。」~後編~
お見合い会場。~雪乃視点~
どうしてこんなことに…というのが正直な感想である。
お見合い、といっても顔を合わせて終わり、のはずだった。
だが、とっつぁんは、
「後は若いもん同士で。」
と相手(田中というらしい。在り来たりだな…)の親族と出て行ってしまったのである。
(き、気まずい…)
雪乃が何を話そうか、と思っていると、田中さんは
「雪乃さんは、何か趣味などはあるんですか?」
と話しかけて来た。は、と我に帰った私は
「あ、えっと…お菓子や巡り、です。甘いものが好きなので。」
と少しぎこちなく成ってしまったが相手に向けて喋る。すると、田中も笑いながら
「僕も甘いものは好きですよ。」
と答えた。だが、田中はそれだけでは終わらず、
「でも、今は甘いものよりも貴方が好きです。雪乃さん。」
と私を押し倒した。
「ちょ、っ…田中さん!?何を…」
「我慢できなくなったんですよ。そんなに無防備にしていては。」
身動きがとれず、必死に身体を動かそうとするが自分よりも体躯の大きい相手からは逃れられない。
(もう駄目だ…っ!)
そう思った直後、ドカン、と派手な音がしてふすまが吹っ飛ぶ。
音の方向へ眼をやると、其処には沖田さんと土方さんが居た。二人は煙で相手が怯んでいる間に私の手を引っ張り、外へと連れて行った。
~土方視点~
ったく、あの男。とっつぁん達が居なくなった途端早速手を出しやがった。
「土方さん、あの男どうしやす?」
「ほっとけ。どうせもう会うこともねぇだろ。」
俺はそういって雪乃を公園のベンチに座らせる。外はもう真っ暗だった。雪乃は少し戸惑いの表情を見せつつも、俺達にお礼を言う。
「…ああいう輩はしつこいからな。」
「気をつけなせぇ。」
注意をすると、雪乃は
「何で知ってたんですか?その、お見合いのこと。」
と訊ねてきた。俺は経緯を話す。雪乃は内容を整理したのか頷くと
「あの、…守ってくれて有難うございました。」
とはにかむような笑顔で言った。
(其の笑顔は反則だろ!!)
と俺が思ったのは総悟には内緒だ。