第7章 初めてのお味は…
ギシッ一
エマが眠るベッドに片足を乗せ、顔の横に両手をつくと、リヴァイは改めて彼女を見下ろした。
自分の下で無防備に眠るエマを眺めていると、心の奥底で小さく渦巻く欲求は瞬く間に大きくなっていく。
「…………」
乱れた前髪を片手で横に流し、そのまま何度か撫でる。
艶やかな黒髪はリヴァイの指の間をスルスルと通り抜けていった。
秘書の仕事を任せるようになってから髪は一つに束ねてばかりいるから、久しぶりにおろしたところを見たが、とても綺麗な髪だと思った。
その手で滑らかな頬を撫で、指先が小さな唇に当たると、触れるか触れないかぐらいの距離でゆっくりとその形をなぞっていく。
リヴァイはもう欲求に抗うことはしなかった。
エルヴィンには偉そうなこと言ったが、俺も大概だな…
さっきから酔いも冷めている。
この気持ちはアルコールのせいだと言い訳することもできない。
…だが、別にそれでいい。
今、俺はこいつを、純粋に自分のものにしてしまいたいと思ってる。
「…エマ………」
リヴァイは唇に添えていた指をゆっくり離すと、掠れた声で無意識にその名前を呼んでいた。
今まで経験したどの女性よりも欲情させられ、いつでも一番に自分の傍にいて欲しい存在になっていたことにリヴァイは気づいていた。
エルヴィンに本音を聞いた時に感じた焦燥感も、
エマのことを考えた時に鼓動が速くなったのも、
こうしてエマに触れたいと思っているのも…
何故そう思うのか、きっと最初から分かっていたのだと思う。
俺は…
エマのことが…
「ん………」
「?!」