第39章 時をかける
「エマ、みんなあなたに会えるの楽しみに待ってたよ。」
「ペトラ…」
こんな偶然って、まさか、本当に……
未だ信じられないのだけど、それでもほんの少しずつ現実味が出てくると目頭が熱ってしまう。
そして込み上げる思いを言葉にすれば、ついにポロリと涙が零れてしまった。
「まさかまた…皆と会えるなんて……夢、みたい……」
「おいおい、いきなり泣くなよ!」
「そうだぞ?せっかく再会できたんだからここはパァっとやらないと!」
「オルオさん、エルドさん…」
「まぁまぁ!積もりに積もった話もあるだろうから、とりあえず座ってよ!」
「はい…」
ハンジに促されてエマは輪の中に入った。
懐かしい顔に囲まれて、胸があたたかいものが広がる。
「ところでリヴァイからは今日まで本当に何も聞いてなかったんだ?」
適当にドリンクを頼んでもらい少し落ち着くと、隣のハンジが面白そうに聞いてきた。
「本当に何も、全然です。」
今の今までそんな話は一度もされたことなんてなかった。
会社の話もかなりしたけれど、誰の名前も一度も聞いたことはない。
「君と再会したとリヴァイから聞いた時、すぐに会いたいと申し出たんだが、もったいぶって合わせてくれなくてね。」
「あ?誰がもったいぶったって?記憶が戻ってねぇところに合わせたってエマが混乱するだけだろ。」
「しかし記憶が戻った後もなかなか会わせてもらえなくて…こっちはかなりじれったかったんだがね。」
「こっちにも色々タイミングってもんがあるんだ、仕方ねぇだろ。それに今日会えたんだからいいじゃねぇか。」
「ハハ、そうだな、すまない。」
「まったく。気持ちの悪い笑いを浮かべやがって」
どうやら二人は現世でも非常に仲がいいらしかった。
エルヴィンとリヴァイのやり取りを聞いていると、まるであの頃に戻ったみたいに感じる。
「エルヴィンは人一倍エマに会えるのを楽しみにしてたからねー。にしてもほんと、リヴァイの独占欲は相変わらずで感服するわ。」
「てめぇ削がれたいか?」
「残念ながらこの国には超硬質ブレードなんて存在しませーん!」
「チッ!クソメガネが。」