第39章 時をかける
「で、連れてきたの?!」
「あぁ」
やたらとテンションの高い女の人の声が聞こえてリヴァイが答えると、場はわっと盛り上がった。
なんだか自分の知らないところで盛り上がられて、少し蚊帳の外な気分だ。あととても緊張してしまっている。
リヴァイが振り向き、こっちに来いと手招きした。
エマはドキドキしながら歩を進め、中を覗き込んだ。
「——っ?!」
そしてそこにいる面々を見て言葉を失った。
「エマ、久しぶり!」
「………ハ、ンジ、さん…」
直接声をかけられてやっとの思いで声を出せたけれど、それは情けないくらい小さくて震えている。
そこにいたのはハンジだけじゃなかった。
エルヴィンにミケ、モブリット、それにペトラ、オルオ、グンタにエルドまで……
どういうことかそこには数年前、共にあの世界で過ごした仲間の顔があったのだ。
「うそ…こんな、え……」
信じられない。
自分は幻でも見ているのかと思うくらい。
だって、リヴァイと出会えただけでも奇跡だというのに、まさかあの世界で関わった全員が揃ってここにいるだなんて…
エマはどういうことかとリヴァイを見た。
「俺も最初は驚いたんだがな…全員が同じ時代を生きてた上に、昔の記憶を持ってた。」
「ほ、本当に…」
「本当だから君に会いたいがために こうして集まっているんだよ。」
「エルヴィン…団長…」
「今は社長だ。」
「えっ?!」
ミケに横から突っ込まれてエマは再び驚いた。なんかもう、今はもう何を言われても驚く要素しかない。
「エルヴィンは俺んとこの社長で、ミケとハンジは同僚。モブリットは相変わらずハンジにこき使われてる。エルド達は俺の部下だ。」
「すごいだろエマ?」
「立場もほぼ同じなんてこんな偶然あるかってくらいだよな。」
リヴァイに説明を受けながら唖然としていると、エルドとグンタがニカッと笑いかけてくる。ジョッキ片手にもういくらか酒が回っている様子だ。よく見れば他の皆も。
「俺はまた兵長の下で働けて光栄っすけど!」
「オルオ、その呼び名で呼ぶのはよせと言ってるだろ。」
「へへ、すんませんつい!」