第7章 初めてのお味は…
「ねーねーリヴァイ?可愛くて仕事が出来る秘書なんて最高じゃない?!もういっそ付き合っちゃったらどうよ?!」
ミケとリヴァイが話をしているところに、ハンジが急に割り込んできた。
一際大きな酒瓶を片手にリヴァイの隣に無理矢理座り込んでいる。
ハンジの頬は赤く火照っており、だいぶ酒がまわっているようだ。
「なんでそんな話になるんだクソメガネ。というかそこをどけ、暑苦しい。」
「えー?私はお似合いだと思うんだけどなぁ。ミケもそう思わない?私は生物学上女だから無理だけど、もし男だったら迷わずエマを抱きたいと思うもん!今すぐにでも!うん!」
「人の話を聞いちゃいねぇ…」
酒に酔っているせいで言いたい放題のハンジに、リヴァイは心底面倒くさそうに眉間に皺を寄せている。
「あーーー分隊長!その酒、いつの間に出してきたんですか?!」
その時、モブリットが急に叫び出したと思ったら、焦った顔をして酒瓶を取り上げようとハンジに飛びかかった。
「ちょ、モブリット!ダメダメ!
今からエマにも飲ませてあげるところなんだから!」
ハンジはモブリットの制止を振り切ると、ヨロヨロと立ち上がり不気味にエマに近づいていってしまう。
「エルヴィンも美味い美味いって飲んでたよ?エマの口にも合うといいんだけどなぁ?」
「アハハ、そ、そうなんですね?あの、ハンジさん…大丈夫ですか?ちょっと怖いです…」
エマはゆっくりと近づいてくるハンジを見上げつつ、エルヴィンにも視線をやったが、そこにはいつの間にかソファの背もたれに力なく両腕を乗せ、天を仰いでいる彼の姿があった。
団長があんな状態になるって…
ハンジさんも様子がおかしいし、もしかしてこのお酒は飲んだらまずい類のものなんじゃ…?
そんなことを考えているうちに、エマの手の中にあるグラスにはあれよあれよと例の酒が注がれていた。
目の前にはニヤニヤと自分を見つめるハンジがいる。
ハンジの両手がグラスを持つ自分の手の上から添えられている。
優しい手つきだが、早く飲んでと言わんばかりの圧を凄まじく感じるのは気のせいだろうか。
「分隊長!さすがにエマには危険で一」
モブリットが再びハンジを止めに入ろうとしたが、時既に遅しであった。