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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第38章 “またね” ※




「私はずっとリヴァイさんだけです!リヴァイさんじゃなきゃ、嫌…本当にこんなに好きになったのリヴァイさんがはじ」
「お前を縛りたくはない。」

「!」

「…前にも言ったが、エマの幸せが俺の幸せでもある。お前が笑ってられるなら、誰とどんな未来を選んだって別に構わない。」


エマとは反対にリヴァイは落ち着きを払っていた。


本当の本音を言ってしまえば、エマの隣は誰にも渡したくはない。恋人として当たり前の感情がなくなったわけではない。

だがもしそう言ってしまえば、彼女のこれからの選択肢を狭めてしまうことになりかねない。傍にいてやれないのに、心だけ縛っておくなんてできないと思っていた。

それに、“エマの幸せ”はリヴァイが心から願うこと。だから今の言葉は口をついて出たものでもなく、嘘でもない。


過去に囚われることなく、思い出は思い出として。

エマには今後、ゆく先々に転がっているであろう幸せの種を見失ってほしくなかったのだ。


「リヴァイさん、迎えに行くから待ってろ…って、言ってくれた」

泣き顔を見て胸が苦しくなる。泣かすつもりなどなかったのに、上手く伝えられない自分の不器用さに嫌気がさしそうだ。

「必ずまたお前に会いに行く。それは約束だ。…だがそれまでの間、離れていても俺たちは生きていかなきゃならねぇ。見えないところとはいえ、好きなヤツが毎日暗い顔してたら嫌だろ。」

ポロポロと頬を零れ落ちる涙がはっきりわかる。知らないうちに薄雲は切れ、月光は夜空にはっきりと浮かんでいた。

「必ず会える。いや、会う。迎えに行く。何がなんでも絶対にだ。だからその日までお前には笑って生きていてほしい。」


リヴァイもエマも分かっている。

“また会える”可能性がどれだけあるのかということが。

けれど信じている間は頑張れる気がする。愛する人が隣にいない人生でも、なんとなく、全うできるような気がするのだ。


エマは泣きながらコクコク頷いた。
伏せた顔をあげさせれば、泣いてはいるが納得したような顔をしていて少しホッとした。

リヴァイは、いつもよりさらに小さく見えた身体をそっと抱きしめた。



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