第38章 “またね” ※
再び押し倒され、寸分の狂いなく鍛え上げられた逞しさを見上げる。何度も見てきた躰だというのにエマは鼓動を速めた。
額にひとつ、柔くて熱い雨粒が落ちる。
瞼、鼻、頬、そして唇にポツンポツンと降り、熱は落ちた場所からじんわりと広がりをみせる。
リヴァイの頭が下がっていく。
「あ、んん…はぁっ、」
舌先が脇腹から脇下を這い、腕を先端に向かって滑るとピクリと体が揺れた。あまり舐められたことのない箇所だからか過敏になる。
人差し指が熱い咥内に呑まれていく。
別の生き物のように動く舌がリヴァイのものだと思うと、余計に身体は熱を生んだ。
—肌でも指でも髪でも、どこか一部分でいい。そこが憶えているなら—
—忘れたくても忘れられねぇくらい、心にも身体にも刻み込んでやる—
リヴァイの言葉がリフレインした。
そう。
指先から足先、髪一本にいたるまで、全てに刻んでほしい。
あなたの、証を。
「いっぱいにしてください…」
リヴァイの口が止まり、目が合う。
「私を、リヴァイさんで満たしてください。」
潤んだ瞳を向け躊躇うことなく言えば、リヴァイは音もなく笑った。
「言われなくてもやるつもりだったが、頼まれたならこっちも手加減はしない。…後でピーピー喚いて後悔するなよ?」
「後悔なんてしません」
「ハッ。先に言っておくが今日はお前を寝かすつもりもねぇし、離すつもりもねぇぞ。」
エマも笑った。
睡眠も食事も、瞬きする時間さえもったいない。
残された時間、最後までリヴァイとひとつになれるというなら本望だ。
ぐちゃぐちゃになってもいい。
溶けて混ざりあって、自分がなくなってしまってもいいとさえ。
「絶対に離さないでください」
「いいだろう。望み通り——」
熱い熱を湛えた瞳がエマを捕らえた。
それだけでエマの芯はズクリと反応する。
引き合うように唇が重なった。
リヴァイの舌が急かすように入り込み、咥内の奥深くまで愛撫する。
「んんぅ、ぁ、はぁ」
弱い上顎をなぞられるとどうしても声が抑えられない。
隙間から零れた唾液が首をつたうのも気にせず、エマはリヴァイから与えられる官能に夢中で縋りついた。