第6章 秘書のお仕事
一人残された会議室で、リヴァイは考えていた。
なぜエルヴィンにあんなことを言ったのか…
エマを自分の秘書にしたのは、彼女の秘密を隠しながら自然にこの兵団内に溶け込ませるためと、彼女も何か役割を持って生活した方がいいだろうという計らいからであったはず。
秘書に任命した以上、確かにプライベートを持ち込まれて仕事がうまく回らなくなる事態は避けたいが、そうでなければ彼女が別に何をしていたって良いはずではないか…
俺は何がしたいんだ?
あいつを秘書として傍に置いてまだ3日だぞ。
自分の女にでもしたつもりになってるのか?
いや、そんなわけはない。
今までも特定の女なんて作ったことないし、欲しいと思ったこともない自分がそんな考えを起こすわけがない。
だから、別にわざわざエルヴィンにああして言及する必要はなかったはずだ。
でもつい口を挟んでしまった。なぜだ?
エルヴィンはきっと本気だ。
それを意識すればするほど、心の奥底からはよく分からない焦燥感が滲み出してくる。
クソ……この気持ちは一体なんなんだ?
エマにこれ以上近づいて欲しくないとでも思ってるのか?
このままではエマをとられちまうんじゃないかと焦ってる…のか?
いやいや、とられるも何もエマは俺にとってただの部下だろ。
自分の心の中に沸いたよく分からない感情の正体を突き止めようと色々考えては見るものの、リヴァイにはよく分からなかった。