第36章 A ray of light
村の奥には絶対に入れさせない。奥の家屋にはエマがいるのだ。だからこの場で全て仕留めなければ——
「「兵長!」」
リヴァイが持ち場につくと、まさに巨人が村の敷地内へ入ってくるところだった。
ズシンズシンと不規則な足音を鳴らし、不自然な表情で向かってくる巨体は何度見ても気色が悪い。
リヴァイはオルオとペトラの待機する場所へ降り立つと、二人に向け素早く指示を出した。
「オルオ!ペトラ!想定より数が多いが、ここで一匹残らず迎え撃つ!絶対にここから先へは入れるな!」
「「了解!!」」
「こっちの五体は俺たち三人で討つ。まずはお前らで左の15m級をやれ!俺は右の二体を殺る!」
リヴァイがチラリと横を見やれぱ、ミケがエルドとグンタに指示しているのが見えた。村の南側ではミケたちが残りの五体を始末してくれるはずだ。
そして北側の自分達も五体。どいつもこいつも飢えた顔をしながら、面白いぐらい自分たちに引き寄せられるようにして突進してくる。
「第一目標三体!村へ侵入してきます!」
「行くぞ!!」
「「はっ!!」」
立体機動が使える範囲内へ巨人を誘い込んだ三人は、リヴァイの号令を合図に一斉にアンカーを射出した。
戦いは短期決戦だ。
村の入口で自分たちが防衛線となり、猛進してくる巨人たちを一匹も取りこぼすことなく叩かねばならない。
もし一匹でも村の中へ入れてしまえば、連携が崩れる上にエマの身が危険に晒されてしまう。
それだけは何としてでも阻止しなければ。
「何度見ても気色わりぃツラしやがって…」
リヴァイは風車の羽付近の壁にアンカーを突き刺し、天高く飛ぶと素早くワイヤーを巻きとり、そこからまずは10メートル級の巨人の首元に向かって再び尖先を打ち込む。
そして体を駒のように高速回転させながら的確にうなじを削いだ。
「アギャァァァァァァ!!!」
顔や服に返り血が飛ぶが拭う間もなく、地に足も付けぬまま続けざまに次へ向かった。
「チッ!」
もう一体は小柄ゆえにちょこまかと目障りな動きをする。確実にうなじを狙うにはまず動きを封じる必要がある。