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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第36章 A ray of light




「いいかエマ、お前は建物の中に隠れてじっとしてろ。俺が来るまで絶対にそこから動くんじゃねぇぞ。」

「わっ分かりました!」

ガスを吹かす音と風を切る音、それに巨人の足音や呻き声に掻き消されてしまわぬよう、会話は声を張り上げてだ。
エマもリヴァイに伝わるよう一生懸命に叫び、緊張感をさらに募らせた。




やがてエマ達は家屋が密集する場所に入り、リヴァイはその一角の比較的頑丈そうな家にエマを押し込んだ。

「すぐに戻る。なるべく窓やドアから離れたところにいろ。」


リヴァイの手が頭を撫で、たったそれだけの事で感極まってしまう。感触はやはり本物なのだ。

リヴァイに会えた。
その事実に嬉しくて泣いてしまいそうになったが、今感情的になるのは違う。泣きそうなのをグッと堪え、エマは力強く頷いた。


「どうかご無事で!!」

必死の形相だったかもしれない。でもそんなのお構い無しに叫ぶように言えば、リヴァイはまた少しだけ頬を緩め頷き、再び空へ舞っていった。


この板一枚隔てた外ではリヴァイさんや皆が戦ってくれている…
どうか誰も傷つくことなく、無事でいられますように。

閉まったドアを見つめ、エマは胸の前で固く両手を握り合わせ、ありったけの思いを込めて祈った。







「これはまたたくさん引き連れてきてくれたな。」

一軒の家屋の屋根の上で待機していたミケの元へリヴァイは戻った。
その他の班員は二人一組で左右に分かれ、まもなくやってくる巨人を迎え撃つためすでに臨戦体勢に入っている。


「やはり平地じゃ立体機動は不利だ。それにあの場所はギリギリ壁上から見える位置だったかもしれねぇ。派手なことして、もし豚野郎共に見つかったら元も子もねぇからな。」

「ここは建物や障害物が多くて立体機動を活かすには絶好の環境だ。これで問題ないだろう。あとは…他の巨人を呼び寄せてしまう前に終わらせるのが健全だな。」

「あぁ。幸い奇行種はいないしこのくらいの数なら俺たちだけでもやれる。…一気に仕留めるぞ。」


二人は互いの意思を確認するように視線を交え頷くと、リヴァイはペトラとオルオの元へ、ミケはエルドとグンタの元へそれぞれ散った。


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