第36章 A ray of light
選択を間違えてしまったのかもしれない。
一度元の世界に戻れた時、あのままこの世界と決別していたら、こんな結果にはならなかった。
自分の命を失うことも、大切な人を悲しませてしまうこともなかったはずなのだ…
—共にここへ戻ってきてくれて嬉しかった—
リヴァイと一緒にこの世界へ戻ってきた後、いつだったか聞かせてくれた彼の本音を思い出す。
私も本当に嬉しかった。
あなたとまた一緒にいられるって、それだけで胸がいっぱいで。
—この命が尽きるその時までお前を愛し守り続ける。いや死んだ後もずっとだ—
そう言われるのがどれほど幸せか、あの時も確かに感じていたけれど、いまさら痛いほど身にしみている。こうして涙が出てしまうほどに。
リヴァイさん…私はあなたに愛されて、本当に幸せでした
もっと伝えたらよかった。もっと全身全霊であなたに想いをぶつけたらよかった。
私が死んだと知ったら、あなたは自分を責めてしまうかな…
優しいあなただから、責めて責めて、そのうちに自分を壊してしまうかもしれない…
決して自惚れなんかじゃない。それだけ、あなたの深い愛を感じていたからこそそう思ってしまうの。
幸せでした
たったこれだけでいい。だからあなたのせいじゃないって伝えたい。
けれど、もうそれすら叶わない…
だからこれまでで少しでも、伝わってるといいな。
リヴァイさんに貰った愛情と同じだけかは分からないけれど…私の想い、どうか伝わっていますように。
ちゃんとさよならも言えずに いなくなってごめんなさい。
けれど、あなたと一緒に生きたいと決めたことを、後悔なんてしていない。
だからどうか…どうか自分を責めたりしないで。
あなたのそばにいられて、本当に——
「アギャァアアアア!!」
「—?!!」
突然、耳をつんざくような轟音にエマは閉じていた瞼を開けた。そして飛び込んできた光景に目を疑うのだった。
そこにあったのは、血飛沫をあげよろめく巨人と、その上を鮮やかに舞うシルエット。
「エマ!!」
見間違うはずが、聞き間違うはずがない。
だって、それは夢にまで見た—
「リ…ヴァ……イ、さ…」
その影が閃光のように急降下したかと思えば、エマの身体は羽のように宙に浮いた。