第6章 秘書のお仕事
「おーい、リヴァイ?」
顔の前でハンジに手をひらひらされて、我に返る。
「あぁ、大丈夫だ、問題ない…それより、次回の巨人捕獲作戦の新道具の開発は進んでんのか?」
「私の頭の中ではバッチリさ!あとは今度の来年度予算審議でエルヴィンに頑張ってもらって、きっちり予算を取ってきて貰えれば!
あ!リヴァイにも特別に私の頭中見せてあげようか?!それはもうあなたの気が済むまでいくらでも見せてあげるよ!」
ハンジには余計な心配はさせない方がいいと考えたリヴァイは、話題を彼女の好物に変えてみたが、あっという間にペースを持っていかれてしまってすぐさま後悔した。
「断る。それに気持ち悪い言い回しをするなこの変態野郎。」
「変態って!酷いなぁーもう!」
「せいぜいこの後の会議でプレゼンを頑張るんだな。それと、今日は時間をオーバーするなよ。」
ハンジに巨人の話をさせると、決められた時間を大幅に超えて喋り続けてしまうこともしばしばだ。
半ばもう諦めていることだが、 今日は悠長に構えていられなかった。
もういっそ、会議自体さっさと終わらせて早くあの人物と話がしたいと、頭の中はそればかりだった。
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「では、今日の会議はここまでとする。解散。」
エルヴィンの号令とともに幹部達がゾロゾロと席を立つ会議室。
「またお前は周りが見えなくなりやがって。」
「ハハハ、ごめんごめんつい!でも隣から殺気立った視線がグサグサ突き刺さってたから痛かったよー!」
「気付いてたんならもっと早く切り上げろ、クソが。」
事前に忠告したにも関わらず、会議中にまた暴走を始めたハンジを何度睨みつけたことか。
その努力の甲斐あってか会議はいつもより長引かずに終わったのだが、へらへら笑うハンジを見ればその効果は一時のものに過ぎないようだ。