第1章 出会い
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「着替えました」
エマがそっと脱衣場のドアを開けると部屋にはいくつか蝋燭が灯っていた。ソファに腰掛け、腕と足を組むリヴァイと目が合う。
「やはり少し大きいな」
「こうして袖と裾を折っておけば大丈夫です」
「着ていた服はそこにしまっておけ」
リヴァイはさっきエマが飛び出してきたタンスを指差して、また腕を組み直す。
「ありがとうございます」
エマはペコリと頭を下げて着ていた制服を丁寧にハンガーにかけた。ここではただの金属の塊にすぎないスマートフォンも一緒に。
「見かけ上普通のタンス……ですね」
「そうだな」
制服をしまう時にチラッとタンスの中を確認するも、特に怪しいと思うところは無い。タンスの扉を閉めるエマの背中にリヴァイの問いが当たる。
「お前、ここに来る前の記憶はあるか?」
「えと、あります。確か学校から家に帰る途中で……」