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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第34章 失踪




リヴァイは奔走していた。
広い兵舎だが、5人で手分けすれば1時間ほどで隅々まで回れる。


「兵長!」

「オルオ!いたか?!」

「いや…こっちには…」

「兵長!こっちも見当たりません!」

続々と寄せられる報告に、リヴァイの顔は険しくなっていく一方だ。



**



「おねぇちゃんが、帰ってこないの」

リリーといった少女は弱々しく呟き、その場にいた全員が困惑しながら視線を交わす。


「おねぇちゃんっていうのは、貴女のおねぇちゃん?ここではぐれちゃったのかな?」

不安そうな少女を宥めるように問いかけたのはペトラだ。しかしリリーははっきり首を横に振った。


「おねぇちゃんとお話してたの。そしたらおにいちゃんがきて、ここで待っててねっていわれて、待ってたけど、いっぱいのおにいちゃん達とどっか行っちゃった…」

少女の周りには青々とした雑草が散乱している。
ここ、というのは花壇だ。そう、エマが大事に世話をしている、花壇。

リヴァイの中で妙な胸騒ぎが起こった。
気持ちをどうにか落ち着かせながら、リリーへ冷静に問う。


「その姉ちゃんの名前は分かるか?」

「………エマおねぇちゃん」


「「「!!」」」


彼女の口から出た名前にリヴァイの瞳は鋭く細まった。他の4人は唖然としている。

「もう随分戻ってきていないのか?」

大人たちの雰囲気の変化に気がついたのか、頷いたリリーは不安な色を強めた。

「………」


…ペトラが横でリリーに何か言っている。しかし内容はまるで入ってこない。頭にあるのは少女の話と、エマのことだけ。


誰と、どこへ行きやがった…?


言いようのない胸騒ぎと焦燥感が、リヴァイをつき動かした。


「お前ら、作戦会議は中止だ。今からエマを手分けして探す。」

「え?!でも兵長、もしかしたら誰かに呼ばれて用事してるだけかも…」

「いやそれは考えにくい。アイツが関わりそうな人間は今もずっと全員揃って訓練場だ。それに………とてつもなく匂う。」

「に、匂うって」
「俺の勘だ。とにかくさっさと手分けして探すぞ!日没前に見つけ出さなきゃマズいことになる。」

半信半疑なオルオを一蹴し、リヴァイは部下達に命令した。


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