第33章 決意の裏側
「んっ…リヴァイさん、こんなところでダメです…」
「今日まで休みだしもう誰も来やしねぇよ。」
背後から伸びた両手に外されていく部屋着のシャツのボタン。
朱い印を隠すため一番上まできっちり止めていたのに、あっという間に真ん中まではだけてしまった。
肩部分をずらされセミロングの髪は片側に纏められ、露になった項に唇が落とされる。
「ん…だ、ダメですほんと…」
エマの制止の声を無視しリヴァイはそこを舌先でなぞった。
敏感な首筋を舐め上げ耳朶にかぶりつけば、言葉とは裏腹に甘い吐息が漏れる。
リヴァイの劣情に火が点るのに、全く時間は要さなかった。
昨日散々肌を重ねたというのにどこまで貪欲なのだと自分で呆れながら、けれど止めるつもりもない。
後ろから抱くように乱れたシャツの中へ手を差し込み、吸い付くような柔肌に指先を滑らせた。
「んぁ、リヴァイさん…っ」
「明後日から合同演習が始まれば、しばらくはゆっくりできねぇ。」
楽しかったエマとの旅行。
二人きりで過ごした特別な時間はリヴァイにとってもかけがえのない思い出だ。
でも厳密に言えば、まだ思い出にしてしまうには早い。
残り数時間の休日を、まだまだエマと過ごしたい。まだ、現実には戻りたくない。
さっき皆にパンを振る舞っていたのだって、正直早く終わってエマと二人きりになりたいとばかり思っていた。
ただ、皆にもパンを食べて欲しいと言うエマの思いは尊重したかったから言動に表さなかったが。
我ながら何とも切り替え下手で女々しい奴だと思うが、そう思ってしまうのだから仕方ない。
だから残された時間は思う存分…
「あっ、だめっ」
「言いながらしっかり勃たせてんじゃねぇか…誰か入ってきたらお前のだらしねぇ格好が丸見えだな。」
「っ!や、ほんとに!」
部屋のドアから一直線上に位置するリヴァイの机に正面を向いて座る二人は、ドアを開けた人物からは本当に丸見えだ。
焦って振り返ったエマの口を塞ぎながら、下着の布を押し上げている飾りを摘むとくぐもった喘ぎ声が漏れる。
「そういうスリルは嫌いじゃねぇだろ」
「っ!ちがんんっ」
まぁ別にそんなことはどうだっていい。
とにかく1分、1秒でも長くお前に触れていたい。