第6章 秘書のお仕事
なんだかすごく久しぶりに普通に兵長と喋ってる気がする…
兵長とのたわいもない会話は純粋に楽しかった。
そしてあれだけ気持ちが混乱していたのが嘘みたいに自然と会話が出来ている。
そんな自分に驚いたけれど、内心ホッとしたエマなのであった。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一
エマは翌日も朝から晩までリヴァイの執務室に閉じこもって、ひたすら目と手を動かした。
この日リヴァイはエルヴィンと一日外に出ていたため、ずっと一人だった。
昨日から仕事を始めたばかりだと言うのに、外出中も普通に仕事を任せるなんて思い切った上司だと思ったが、締切は明日だ、なにせ時間が無いから仕方がないのだろう。
しかしリヴァイが不在の中仕事を任されたということは、自分を信頼してくれているからなのかなとも考えると、エマにとっては喜ばしいことであった。
夕刻一
今日の分はあらかたキリがついた。
エマは立ち上がって腰に手を当て、リヴァイのデスクの上を見渡す。
「…よし、あと少し!」
これなら上手く行けば明日の午前中には全て片付くはずだ。
今日はここまでにしよう。
そろそろ夕食に行かないと。
エマは結っていた髪を解くと、鎖骨辺りまである艶やかな黒髪が重力に従ってストンと落ちた。
ここに来てから専ら髪は縛っている。
この方が動きやすいし、読み書きをする時も邪魔にならないからいい。
エマはリヴァイの執務室に鍵をかけると、食堂へと歩き出した。