第32章 北の地にて ※
「…はぁっ、」
「なんだ、しゃべれなくなっちまったか?」
無の瞳で見下ろされ、返事の代わりにエマの下半身は苦しい疼きを繰り返す。
エマがこの先どうして欲しいかなんて、最初からリヴァイは分かっているのだ。
そのことにエマも気付いている。
そしてこの状況は、“必ず”エマ自身の口から言わないと打開できないことも分かっている。
遠のいたリヴァイとの距離が寂しい。
触れられない胸の突起は虚しく天を向いたままだ。
触れて欲しくて、たまらない。
「……リヴァイ…さん…」
「…なんだ?」
「!」
優しい声と共に指の背で頬を撫でられる。
もう限界だと思った。
「………」
エマは無言でリヴァイの手首を掴み、湿り気を帯びた秘所へと導いた。
しかしリヴァイの手はそこへ到達しても動こうとしない。
顔を見れば先を促すような目をされ、エマは黙って身体を起こすとリヴァイの手の甲にピタリと自分の掌を重ねた。
向かい合うように座り、少し脚を広げたエマ。
一度視線を合わせてから下を向き、重ねた手を動かすとリヴァイの手はぎこちなく前後に揺れた。
エマは意思のない手を動かす。恥じらう余裕など彼女にはもう残されていなかった。
「…んっ」
骨張った指が肉襞に埋まった花芯の上を通ると声が漏れたが、気にせず続ける。
けれどリヴァイの顔はやはり羞恥からちゃんと見れなくて、下を向いたまま懸命に撫でつけていると、不意に優しい手つきが髪を撫でた。
「エマ…」
名前を呼ばれて思わず手を止めたが、“続けろ”と言われまた動かした。
「…ん…はぁ……」
「…エマ、こっちを向け。顔を見せろ。」
髪を撫でられながら囁くような声が舞い降りて、エマは素直に従った。
「ハッ…」
リヴァイは思わず笑いが漏れた。
見たのは、縋るように見上げる潤んだ瞳。
眉は切なげに下がり、上気した頬は鮮やかな紅色。濡れた唇は余裕がなさそうに息を吸っては吐いてを繰り返している。
欲望剥き出しのエマの必死のアピールがいじらしくて堪らなく、口角は勝手に吊り上がってしまう。