第32章 北の地にて ※
同じところばかり責められて頭がおかしくなりそうだった。
エマは渾身の力でリヴァイの頭を押すがビクともしない。
それもそうだ、快感に力を奪われた両腕は余りにも非力なのだから。
「リヴァっ!もっ、あぁ!やめっやめて!そこやめてぇっ!!」
本当に耐えられなくなって懇願するように叫ぶと、擦る動きが漸く止んだ。
固く閉じていた瞼を上げると、じっと見下ろす三百眼と視線がかち合う。
リヴァイの両方の指の腹はビンビンになった先端にそっと触れているだけだ。
錯乱寸前で漸く解放されたエマは、大きく呼吸を乱して懸命に酸素を吸い込んでいた。
身体中が熱くて背中に汗が滲む。まるで絶頂した後のような状態だと思った。
こんなに乳首だけを執拗に責められたのは初めてで、その刺激だけでここまで乱れてしまう自分も初めて知った。
「はっ、はぁっ…も、もう……」
意識は乳首にあてがわれたままの指先に向いたまま。
またいつ刺激が再開されるやもしれないと、警戒を解くことができないのだ。
「どうしてほしい」
「えっ…」
交わった視線が唐突に問いかける。
どう、って…
指が先端から遠のいた。
自分に選択を委ねる気でいるのか、リヴァイはエマに跨り見下ろしたまま動かない。
「お前の好きなようにしてやる。どうしてほしい?」
「っ………」
例えば、止めてほしいと言えば止めてくれるのか?
もしかしたらそれも選択肢の内に入っているのかもしれないが、エマの頭にはそんな選択など微塵も浮かんでいない。
ただエマの中にあるのは…
「………」
「……っ」
スリ…とエマの太腿同士が控えめに擦れる。
それは意識的にか無意識なのか分からないが、エマが自分で動かしたのは確かだ。
肉襞の下に隠れる花芯はジンジンと疼き、子宮の奥で燻っていた熱も徐々に大きくなって自然と下半身に力がこもっていく。
一旦は落ち着いた呼吸音がまた耳につくようになり、目の奥で涙が湧き出る感覚が分かった。