第32章 北の地にて ※
一生懸命集中してるうちに邪念は薄れていた。
気持ちよさそうに息を吐く彼のことをもっと良くしてあげたいと思う。
さっきのリヴァイもこんな気持ちだったのかなと思いながら、エマは足の指一本一本まで丁寧にマッサージするように洗った。
しかしふくらはぎから太腿までを軽く指圧するように滑らせれば、自然と視界に入ってしまうのは反り立ったリヴァイ自身だ。
もちろん、ここも…だよね…
何となく困ってリヴァイを見上げると髪を撫でられその指が頬から顎へ伝い名残惜しそうに離れていく。
何も言わないが目で先を促されたのが分かった。
エマはゴクリと生唾を飲み込む。
一旦は落ち着いていた鼓動がまた騒がしくなり始めた。
エマの右手はそっと 猛々しく隆起する物体を包んだ。
そして左手を添え 根元から先端に向かって力を入れず滑らせ、また根元へ戻る。
こんなに熱くて、硬いの………すごい…
それが正直なエマの感想だった。
何せまともに触れたのは今日が初めてなのだ。
見た目以上に熱く硬いそれは凶器のようにも感じてしまいそうだが、エマは自身の身体がしっかり反応しているのにも気が付いていた。
リヴァイの熱に触れると身体の奥が切なく疼く。それも何度も何度も。
どこも触れられていないのに握って上下に撫でているだけでまるで自分が愛撫されているかのような錯覚に陥る。
こんな感覚は未だかつて感じたことがなく戸惑うが、決して嫌な気分ではなかった。
いや、むしろ…
「エマ」
「ぇっ…」
「ハッ…なんでお前が気持ちよさそうな顔してんだよ。」
名前を呼ばれて顔を上げると、薄ら笑いのリヴァイが見下ろしていた。
「そんなこと…!」
否定してみたけれど本当のところはリヴァイの言うとおりだ。
たぶん今自分は はしたない顔をしてる。
「俺のを触って気持ちよくなってたってのか…?」
「ちが…!!」
突然両手に被さる骨張った手にエマはビクリとした。
「そうか。俺は気持ち良いぞ…エマ」
妙に色気のある掠れた声はエマの脳をあっという間に痺れさせる。
重なった手が上下に動き始めるのをエマはただぼうっと見つめた。