第32章 北の地にて ※
「先に湯船浸かってろ」
シャワーを止めたリヴァイは背を向けて立ち上がり、また石鹸を泡立て始めた。
しかしエマは動く気配がなく、不審に思って首を捻ると彼女は自身の背中を見たまま立ち尽くしていた。
「どうした」
「……あの、」
「…?」
もじもじしているエマの言葉を待っていると、彼女は目を伏せたまま言った。
「リヴァイさんの背中……流しましょうか」
さくらんぼのように色づいた頬と少し震えた声が少女の緊張を物語っている。
リヴァイは驚いた。
「あ、これはその、私だけしてもらってばかりで申し訳ないと思ってですね、」
「……ほう……なら頼めるか?」
「!!は、はい!」
パッと顔を上げたエマは必死だった。背中を流すと言うだけでもよほど勇気がいったのだろう。
しかしエマからの思ってもみない申し出にリヴァイは人知れず鼓動を高鳴らせた。
今日はベッドの上で、いつも以上に大事にエマを抱いてやりたいと思っていた。
身体を洗ったのも純粋にエマをいたわってやろうと思い立ってのこと。
それがさっきからズクズクと湧き上がる昂りに 自分で自分の首を締める結果となっている。
思春期のガキじゃあるまいしもう少し自制できると思っていたのにとんだ誤算だった…
艶やかな肌に触れ、膨らみを撫でピンと硬くなった粒は掌を掠め、薄い茂みの奥の潤いに触れて…
その形のいい胸を揉みしだき小さな粒に吸い付いて、じっとり濡れた潤いの中に指を沈めてしまいたいと何度も思った。
だが何とか理性を保っていた。
ここまできたらとリヴァイも意地になっていたのだ。
しかしそんな最中 エマが自分の背中を流すと申し出たのは完全に予想外。
そして甲斐甲斐しく手を動かす彼女に、僅かに残された理性は意図も簡単に崩れていくのだった。
背中から手が遠ざかり、キュ と蛇口を捻る音にリヴァイは目を開けた。
「リヴァイさん…?」
シャワーヘッドを持った手を突然掴まれ エマは驚いた顔を向ける。
その顔をじっと見つめリヴァイは静かに言うのだった。
「エマ…最後まで綺麗にしろ。」