第32章 北の地にて ※
“もっとよくしてやらねぇと”
リヴァイはそう言って止めていた手を動かし出した。
相変わらず手つきは壊れ物を扱うかのようにとても優しい。
先端はすでに立ち上がり 大きな掌に硬い先がどうしても擦れてしまう。
泡で滑りが良いので少し触れただけでも簡単に刺激になってしまうのだ。エマは吐息が漏れそうになるのをどうにか堪えていた。
「あっ!」
ついに両手が膝を割りエマは反射的に閉じたが、不満そうに“洗えねぇだろ”と言われ仕方なく力を抜く。
こんなに明るい場所で リヴァイさんの前に曝け出してしまった…
エマは顔から火が出そうだった。
思わず両手で顔を覆うが、リヴァイは気にすることなく足先から徐々に上へ上へと滑らせている。
手が外腿を通り過ぎ内腿に差し掛かると エマは筋肉を強張らせた。
足を閉じたくても間にリヴァイの膝が割り入っているので無理だ。
顔を隠しているからリヴァイはどこを見てるか分からないけれど、もしかしたら恥ずかしい部分を見られているかもと思うと気が気じゃないし、何故だかまた奥は重く疼いてしまう。
とうとう指先が茂みを分け入った。
たっぷりの泡で優しくなぞるだけなのが何度も往復して、エマは激しい羞恥で頭がおかしくなりそうなのと同時に、あることに気がついてしまった。
やだ…濡れてる……
泡とは明らかに別のぬるりとした感覚が なぞる指から伝わる。
自分でも分かるくらいだからリヴァイなんて丸わかりだろう…
そう思うといたたまれなくなってエマは声を上げてしまった。
「リヴァイさんっ…!」
「なんだ…」
上目遣いのリヴァイにエマは射抜かれながらも必死に訴えた。
「もう大丈夫です!ありがとうございました!」
「…そうだな」
しかしながら訴えはあっさり受け入れられエマは呆然とした。リヴァイは涼しい顔で泡を流していく。
いつもの調子なら意地悪く指摘してくるのに、今日はそういう言葉も一切聞こえてこない…
結局 “もっとよくしてやる”の真意は単にリラックスさせてくれる、ということだったの…?
温泉の時とは全然違う態度にエマは困惑しつつ、中途半端に燻った熱のやり場に困っていた。