第32章 北の地にて ※
トクントクントクン一
硬い筋肉の下で脈打つ鼓動は力強く、想像より遥かに速い。
リヴァイに導かれて触れていたのを 改めて自分の意思で触れてみると、手のひらが肌に密着してより一層強くリヴァイの鼓動を感じた。
「少しお前が積極的になっただけでこのザマだ。」
以前もこんな風に胸に手を当てられたことがあったけれどその時とは違う、どこか官能的な雰囲気を纏ったリヴァイの表情。
「…!!」
リヴァイの顔を見て、次に胸元に視線を落としたエマは目を見開いた。
視線の先にあったのは隆起したリヴァイの分身。
水中でも分かるくらいにそそり立つソレは、触れなくても熱く硬くなっているのがはっきり見て取れる。
欲情して、くれてる…
自分に欲情して拍動を速め下半身を硬くしてくれている…エマが感じたのは恥ずかしさよりも嬉しさだった。
そしての身体の奥は切なく疼いてしまった。
ソレから目を逸らせず凝視してしまっていると指で顎を持ち上げられ、熱の籠もった視線と絡んだ。
自分の心臓もまた、リヴァイと同じくらいの速さで脈を打っている。
頬にどんどん熱が集まってくるのは のぼせたせいではないだろう。
一度 ゆっくり啄むようなキスが落ち、艶めかしく余韻を残しながら離れたリヴァイは薄ら口角を上げた。
「ここでは抱かねぇ。」
「え…?」
「ハッ、なんだ、期待外れだったか?」
「いっ!いやそんなこと!!」
薄ら笑うリヴァイに全力で否定してみたものの、エマの本心はこうだ。
いや…本当は期待外れじゃないわけじゃない……
だってこの流れ、絶対このままそういうことになると思うじゃない…!
別にここでしたいって思ってたわけじゃないけど、ちょっと拍子抜けっていうか…
そんなエマの本心を知ってか知らずか、リヴァイは先ほどの笑みを携えたまま、まるでわがままを言う子供を宥めるかのようにポンポンと頭を撫でた。
「そうがっかりするな…ベッドの上でしっかり愛してやる。」
……
………
「ふぇっ?!」