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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第32章 北の地にて ※




ここは兵舎からはだいぶ離れた土地。
兵団関連の施設も無さそうだがリヴァイは初めて来るような感じではなかった。以前来たことがあるのだろうか?


「この辺りは班の強化訓練で一度来たことがある。湖はその時見つけた。宿は泊まってはいないが飯だけ食った。」

「なるほどそうだったんですね!絶景にこの宿に、ご飯も空気もすごく美味しくて。本当にいいところですね!」


「そうだな…俺もまた来たいと思ってた。だから今日お前と来れて良かった。」


呟くように言ったリヴァイは重ねた手をに力を込めエマを優しく抱きしめる。

言葉数は少ないがリヴァイも自分と同じような気持ちなのは十分伝わって、エマの胸は堪らず幸福感でいっぱいになった。


「ペンダントも…本当に嬉しかったです。肌身離さず付けます。ずっとずっと大切にする。」


抱き締められている逞しい腕に視線をやりながら噛み締めるように言うと、腰に回された手にまた一段と力が入った。






「エマ」


低くて落ち着きのある、それでいて優しさと慈しみの篭った声。
この声で名前を呼ばれるのが大好きだ。


再び振り返った刹那 唇へそっと押し当たるよく知った感触。

エマは静かに目を瞑りその口付けに応えた。


骨ばった指が湿った髪を通り抜け耳輪に触れ、伸びた首筋を下へと這う。


「……んっ、」


だんだん深くなる口付けにエマは体を反転させ男らしい肩に手を置くと、自らリヴァイをより深く求めた。

珍しく大胆な行動にリヴァイは少し驚くも彼女の意思を理解し、細いうなじを掴んで要求通り深く官能的なキスを送り込んだ。


「ん……ふっ…んぁ……」


長く濃厚なキスに酸欠と昂奮で息は上がり知らずのうちに吐息が漏れる。
それはもう既に湿った甘いもので、エマの脳が蕩けかけているのを示していた。


とにかく夢中で舌を絡ませ合い漸く唇が離れた時には、細い銀の糸が名残惜しそうに二人を繋いだ。


「随分誘うのが上手くなったもんだな…」

「…だって、」


こうでもしなければ、今にも愛する気持ちが溢れてしまいそうだったから一


なんて本心は恥ずかしくて言えず誤魔化すように髪を触るが、その手首は掴まれある場所へ導かれた。


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