第6章 秘書のお仕事
ガチャ一
エマが席を立つと同時にドアが開く。
「あ、リヴァイ兵長、おかえりなさい。訓練お疲れ様でした。」
「あぁ、お前もご苦労だったな。」
リヴァイはエマに労いの言葉をかけると、羽織っていたマントをするりと外して丁寧にハンガーにかけた。
「…こんなにやったのか?」
ふとデスクの上の書類が目に入ると、リヴァイはまたもや目を丸くする。
「あ、はい!やり出したら止まらなくなっちゃって…自分でも確認はしてあるんですが、すみません、兵長に見直してもらう量が多くなってしまいました。」
「いや、それは問題ない。しかしお前一人で本当に…」
リヴァイは、今朝仕事を教えたばかりなのに、ここまでの量を捌いていたエマを信じられないといった表情で見つめている。
秘書にすると言ったのも、エマをこの兵団で安全にかくまるために思いついたことだったが、ひょっとして自分はとんでもない逸材を発見してしまったのではないかと思ってしまうほどだ。
「ちょっと頑張りすぎちゃいましたかね…」
リヴァイに感心されたことに少し照れくさくなったのか、首を傾げ、ヘヘと笑いながら指で頭をポリポリしているエマ。
「正直、かなり助かった。このままじゃ休みまでろくに眠れないかと思ってたが、普通に寝れそうだ。」
その言葉は彼なりの感謝の表れである。
エマはそれを聞くと嬉しそうに笑顔を見せた。
「お前も疲れただろ、少し休憩をしていいぞ。」
「いいんですか?ちょうど喉が乾いて水を飲みに行こうと思ってたんです。」
「なら、紅茶を一杯入れてくれないか。もちろんお前の分もだ。」
「分かりました!」