第32章 北の地にて ※
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照明の光をキラリと反射する淡いピンク色。
鏡の中の自分と目が合い苦笑いするも、昼間のことを思い出してまたにやけてしまう。
リヴァイさんが私のために選んでくれた…
リヴァイはこのペンダントについて多くは語らなかったが、忙しい訓練と仕事の合間を縫って用意してくれたのだろう。自分のために時間を割いてくれたことだけでもう感無量だった。
一人で行ったのだろうか?
どんな風にして、何を思って選んでくれたのだろう?
パパッと決める姿は想像できないし、だからと言ってああでもないこうでもないと悩んでいるのも想像できない。でもきっと彼なりに悩んでくれていたのだと思う。
何より一番その気持ちが嬉しかったし、そういう思いも含めて大切にしようとエマは胸元のペンダントをふわりと包んだ。
「おい、いつまでかかって脱いでやがる。」
「ひゃっ?!あっ!すみません!!」
扉が開き不機嫌そうな男がひょっこり顔を出した。
エマは慌ててワンピースに手をかけるが、チラと見やるリヴァイがドアに片肘をつき寄りかかってこちらを見ていてその全身に目を奪われた。
彫刻のような筋肉美。無駄な脂肪のない完璧なまでの肉体。
いつも思うのだが服を着ている時と脱いだ時のギャップがありすぎる。
あ……
見惚れながらその全身を眺めると、不意に見てはいけないものが視界に入ってしまいエマは光の速さで顔を背けた。
「あ、あの!ほんとにすぐ行きますので中で待っててください!」
「もう十分待った」
これは…私が裸になるまでそちらで見ていらっしゃるということですか…?そ、そんなに待たせてたかな…?
無言の圧が早くしろと言っているが、こうも直視されていてはなかなか脱げない。
もう何度も彼の前では裸になっているじゃないかと言えばそうなのだが、これはまた別の話だ。
「チッ」
もたついていると盛大な舌打ちとともに裾を捲りあげられてしまった。
「あっ!」
「今更恥ずかしがることじゃねぇだろ。ほら腕上げろ。」