第32章 北の地にて ※
「あ、これはあくまで私の話なので!…兵長はどうしてエマに贈り物を?」
ペトラの指輪は誕生日に貰ったものだ。
恋人にプレゼントと言えばそういうイベントが主だろう。エマももうすぐ誕生日なのだろうか?それとも何か別の理由があって?
理由によっては選ぶ物が変わってくるかもしれない。
こういった類の質問は初めてするから恐る恐るだったが、リヴァイは嫌な顔せず答えてくれた。
「あいつが大事にしていたもんが壊れちまったんだ。俺はすぐまた買い直せばいいと言ったが違ったらしい。
俺が買ったものだから特別だって言ったんだ。それを買ったのは付き合う前だったからな…言われるまで気が付かなかった。」
「だから改めてプレゼントを、ですか!…ちなみに何が壊れてしまったんですか?」
「髪結だ」
「髪結を…確かにいつも同じもので結んでましたね!だとしたらやっぱり身に付けられるものが嬉しいですよ、きっと。」
「そういうもんか?」
「身につけるものってやっぱりいつでも自分のすぐそばに置いておけるから嬉しいと思います!指輪もいいと思いますけどどうですか?」
「残念ながら指のサイズが分からねぇ」
難しそうに眉根を寄せるリヴァイ。この様子だとエマに内緒で準備したいのだろうとペトラは思った。
「それだと一緒に買いに行かないといけないですもんね。うーん、あと他には…」
あれこれ悩んだ末ペトラが推してくれてのは“ペンダント”だった。
ペンダントならエマがいなくても買えるし小ぶりなものなら邪魔にならないから、ずっと身に付けやすいとのことだった。
アクセサリーを付けているのを見たことがないエマが喜ぶのか少し心配だったが、間違いなく喜ぶと太鼓判を押すペトラを信じることにした。
今までまともに贈り物などしたことがないリヴァイからしたら、今回のプレゼント選びは結構ハードルが高かった。
エマに必ず喜んで欲しい。
そう思えば思うほど何をあげたらいいのか分からなくなり途方に暮れていたのだ。
自分の部下に相談するなど最初はどうかと思ったがペトラには感謝だ。
勇気を出して聞いてよかったとリヴァイが小さな包みを抱えて街を出たのは今から数日前のことだった。