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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第30章 裏切り




「ねーねー例の資料どう?来月からの新兵を交えた合同演習の提案書!」

「今朝貰ったばかりだろう。まだ途中だ。」


二枚の薄っぺらい紙などすぐだと言うのに、未だ手元で読まれるのを待っているそれをぺらりと捲る。



「あぁそうだったね!まぁゆっくり目を通しておいてよ。」

「…なんの用だ。」


ボフッとソファに座り伸びをするのを眺めながら問う。
用件はそれだけではないだろう。

真面目な顔をしたハンジが向き直った。


「リヴァイ…エマと何かあった?」

「何故そんなことを聞く。」

「さっきエマと会ったけど、なんか様子おかしかったから。それに昨日宴会の途中で二人とも居なくなっちゃっただろ?何かあったのかと思って。」

「…別に何もない。何かあったとしてもてめぇには関係のない話だ。」


真剣な顔から目を逸らさず答えると、黙って数秒視線を交えたのちハンジは“そっか”と呟いた。



「私の勘違いなら良いんだけどさ。さっきリヴァイの名前出した時エマ一瞬泣きそうな顔になった気がして。だから喧嘩でもしたのかと思ったんだけど。」

「………」

「…もしかして当たり?」


俺の僅かな眉の動きをこいつは見逃さなかったようだ。


「……些細なことだ。」

「そう……でも些細なきっかけでもさ、意固地になってるとどんどん修復難しくなっちゃったりするよね。」


なんとも言えない顔したハンジを見た。


仕事以外じゃ能天気に見えるのに、言ってくることは結構鋭い。
何も考えていなさそうで実は見ているし考えている。

こいつのこういう所は素直に凄いと思っていたが、まさか喧嘩を言い当てられた上に諭されるとは…




「……チッ」


ガタ、と席を立ち出口へ向かう背中に能天気な声が被さる。


「何があったかは知らないけどさ!ぎゅーって抱きしめて“ごめん”って言ったら素直になれるよきっと!あなたの健闘を祈る!」


こいつに言われて行動するのはちょっと気に触る。しかし背中を押されたのは事実だ。


俺は振り返らず、ソファにもたれる赤茶髪に頷いた。




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