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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第30章 裏切り




早足で一気に書庫の前まで来ると、来る途中で団長室から拝借した鍵を取り出した。

エルヴィンにも昨夜途中でいなくなったことを心配されたが、適当なことを言って誤魔化した。



ここで少し、気持ち整理しよう…



書庫には元々あまり人は立ち寄らないから、午前中の早い時間なんてほぼいないだろう。


カチャリ…と鍵を回したつもりが引っかかりがなかった。

中に誰かいるのか、鍵は開いているようだ。

予想外のことに“こんな早くに誰だろう?”と思いながらエマは静かにドアを開けた。


「失礼します…」


控えめに挨拶をすると奥の本棚からひょこっと一人が顔を出した。



「エマさん…!」

「あっアデル!」


そこにいたのはアデルだった。
不思議と昨日から何かと遭遇することが多い。

エマはすぐに昨夜のことを詫びた。


「昨日はごめんね…あの後無事だった?」


介抱しようとしたところにリヴァイが現れ、最終的にアデルを追い払うような形になってしまったのだ。

体調ももちろん心配だったが精神面も気になっていた。


「ちょっと頭痛いですけど大丈夫です。俺の方こそすみません…エマさんを困らせてしまったし、リヴァイ兵長も怒らせてしまったし…」

「ううん、私は全然!兵長は…まぁちょっと誤解してただけで、あの後説明したから大丈夫だよ。」


いや、本当はまだ誤解は解けていないしあんまり大丈夫じゃないのだけれど…

アデルにはさすがにそんなことは言えずに誤魔化す。


「そうですか…でも正直あの時は兵長にぶん殴られるんじゃないかって思いました…ハハ。
それにしても兵長は随分とエマさんのこと大事にしてるんですね。」

「え?そ、そうかなぁ?」


いやたぶん、すごく大事にされてる…と思ったが、素直に頷きにくくてこれまた曖昧な相槌を打った。

そんなエマにアデルはニッコリ笑う。


「絶対そうですよ!あの時の兵長からはエマさんに触るなオーラ全開で殺気バチバチでしたから。」


トン、と几帳面に揃えていた本を机に置き、爽やかな笑みを崩さずに彼は続けた。



「兵長って、エマさんの彼氏なんですか?」




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