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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第29章 足音




「結局資料返すのも手伝ってもらってすみません。」

「ううん!二人でやった方が早いし、それに私前ここに入り浸ってたことあって大体どこに何があるか把握してるから!」

得意げな笑みを見せてきぱきと本を戻していくエマ。
その隣ではアデルが資料を慎重にファイリングしていた。


アデルは申し訳無さそうだが、エマはむしろ手伝ってあげたい気持ちだった。
さっきから必死なアデルがなんだか少し可愛く思えて、つい世話を焼いてやりたくなってしまったのだ。



「団長室って独特な雰囲気でちょっと緊張しちゃうよね。私もあそこへ入る時はピシッとしちゃうもん。」

エマはチラリとアデルを見やり、目線を本に戻しながら話し出す。


団長室に来た時のアデルはとても緊張していた。
昨日の今日でもちろん兵団には慣れていないだろうし、きっと今彼は一杯一杯なんじゃないか。

そんな彼の肩の力を少しでも抜いてあげられないかと思って、エマは話をし始めたのだ。


「団長室の雰囲気もそうですけど、エルヴィン団長の気迫がすごいというか…新兵勧誘で訓練兵団に演説に来た時から思ってたんですけど、目の前にしたら更に凄みが増してめちゃくちゃ緊張しちゃいました。」

「気迫かぁ…確かにあるね。」


エマの頭にぱっと浮かんだのは、壁外調査の出立時、声を張り上げ仲間を鼓舞する姿。納得してうんうんと頷く。


「やっぱり人の上に立つ人は違うなぁって思いました。オーラも全然違うし。でもエマさんは団長と堂々と話していて凄いですよね。」

「え?私?!堂々としてるかなぁ…あんまり意識してないけど…」


エマはアデルの言葉に驚いた。

特殊な出会い方だったし最初はもちろん緊張したけれど、思い返してみれば割とすぐに打ち解けられていたのかもしれない。
エルヴィンだけでなくリヴァイや他の兵士についても同じだ。

だがアデルからしたら、エマとエルヴィンとのやり取りは結構な衝撃だったようだ。


「堂々としてますよ!俺は何年かかってもエマさんみたいには接せられない気がします。」

「そうかなぁ…」


相槌を打ちながら、ふともし自分も兵士だったら…と考える。


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