第5章 調査兵団の実力
夕刻一
「エマったら目にうっすら涙まで浮かべて感動してくれてさ!今日はほんと見学に連れてって良かった!」
ハンジとモブリットとエマは午前中の訓練見学の話をしながら食事をとっていた。
「本当にすごすぎて圧倒されましたよ…あー、もっと語彙力が欲しいです!」
エマは訓練を思い返して興奮気味で感想を口にしていた。
立体機動装置については一度リヴァイに抱えられる形で体験はしていたが、客観的に見るとまた違った感動を引き起こした。
本当に鳥になったかのように自由に飛び回っていた。
その俊敏さと美しさだけ見ていれば、それがおぞましい巨人を仕留めるための代物だということを忘れてしまいそうなくらいだ。
そして中でもリヴァイの動きは一際そう強く思わせた。
「壁の中の駐屯兵や憲兵は立体機動装置を使うことはあまりないからな、そんな反応にもなるか。」
「お二人とも、貴重な時間を割いてくださって本当にありがとうございました!」
「いいのいいの!私も満足したしね。また機会があれば見に行こうね!」
「エマがそこまで喜んでくれて嬉しいよ。心配だったけど無事に済んで良かった。」
エマは改めて二人に感謝すると先に席を立った。
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エマは心地よい高揚感に包まれながら廊下を歩いていた。
今日は本当にいいものを見せてもらえた。
今夜はよく眠れそうだ…
これからお風呂にゆっくり浸かって、早めに寝よう。
それで、また明日から勉強に勤しもう。
なんて考えながら軽い足取りで自室へ向かっていた、その時一
「随分と機嫌がいいな。」
「ひゃぁ!…リ、リヴァイ兵長?!」
「その驚き方、何とかならないのか?」
思いもよらぬ人物に声をかけられて、思わず声が上ずってしまう。
エマが歩いていた廊下は中庭に隣接していて、廊下からすぐに中庭に出られるようになっていたのだが…
どうやらリヴァイは中庭にいて、歩いてきたエマに気付いたようだった。