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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第5章 調査兵団の実力




背の高い木々が周りを囲み、その間にいくつかの木製の大きな巨人の模型が転がっている。

各模型を兵士1人が担当し、討伐組が近付いてきたらランダムでそれを持ち上げ、巨人の出現を演出するという仕組みらしい。


「結構大掛かりな訓練なんですね。」

「立体機動装置の訓練は調査兵団のメインだからね。あ!そろそろ来るよ。」

「はい!」


シーンと静まり返った森の中に、微かにガスをふかす音が聞こえてきた。





「すごい…」

エマは思わず息を呑む。


討伐組の兵士達が現れると、巨人の模型が次々と出現した。

兵士達は声を掛け合いながら、巨人目掛けて2本のブレードを振り下ろし、その項を削いでいく。

まるで本物の巨人と遭遇したかのような緊張感もあった。


時間にして数分のことだろうか。
この辺一帯の巨人を一掃すると、兵士達は次の場所へ向かっていった。

その間、エマは瞬きする間も惜しいくらい彼らの姿に見入っていた。


「ハンジさん、すごいです…私が想像してたものの何倍も。」

完全に圧倒された顔をしているエマ。
そしてその眼差しは羨望に満ち溢れていた。

「嬉しい反応してくれるじゃないかー!連れてきた甲斐があったよ!」


その後続いて2つ目の班が同じように巨人を討伐し、ついにリヴァイ班の番となった。


「次はいよいよリヴァイ兵長たちですね!」

エマは目を見開いて鼻から大きく息を吸う。
すっかり興奮しきっている様子だ。





視線の先からシューッとガスの音が聞こえてくる。


きた!!


リヴァイ班の班員達が次々と巨人の項を削いでいく。

彼らはお互いの目の動きだけでお互いの考えを読み、無駄な動きはほとんどない。

エマはその姿を食い入るように見つめている。

そしてその中で一際惹き込まれる姿があった。


リヴァイだ。


班員達も相当であったが、リヴァイのそれは目を見張るものがあった。


まるで彼にだけ重力が働いていないような身のこなし方。
くるくると華麗に宙を舞ったかと思うと、巨人まで一瞬で距離を詰めて仕留める。


その速さは他の兵士とは比べ物にならなくて、閃光のようだ。

速すぎて目で追うのもままならない。


エマはその姿を一瞬でも多く目に焼き付けようと必死になっていた。

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