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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第28章 長い夜 ※




突然のキスにリヴァイは驚いたが、同時に激しく欲情した。

すぐにエマの唇に吸い付き、そして貪るような口付けをしながら後頭部へ手を回し彼女の体をベッドへ沈める。

エマからキスをしてくることは滅多にない。
だから彼女の珍しく積極的な行動は簡単にリヴァイの情欲を掻き立てたのだ。


「ん…はぁっ、リヴァ…さん」

「随分と誘うのが上手くなったじゃねぇか」


情熱的なキスのあと意地悪げに呟けば直前までの大胆さは何処へやら、エマは急に大人しくなった。





「そんなつもりじゃ…」


本当にそんなつもりじゃなかった。

あのキスはただリヴァイをどうしようもなく愛おしく思って、その感情の赴くままにとった行動だったのだ。

でもどうやらそれがリヴァイの劣情に火をつけてしまったと分かると、エマは途端に恥ずかしくなって頬を染めた。



しかしそれも束の間、急にリヴァイが顔をしかめたので少し不安になって問いかける。


「…どうしたんですか?」

「嫌な事を思い出しちまった…エルヴィンの野郎のことだ。
さっき中庭でお前の腕掴んでたよな?弱ってるお前につけ込もうとしてたんじゃねぇのか?アイツ。」


見られていたのか…


エマの頭に切なく揺れる碧い瞳が浮かんだ。


“辛ければ俺に逃げてくれていい。どんな理由であろうと、全て受け止めるから”

“俺では…リヴァイの代わりになれないか…?”


あの時エルヴィンが切なそうな、苦しそうな顔で呟いた言葉も同時に蘇る。


あんなことを言ったエルヴィンの真意はよく分からない。

でも弱みにつけ込むだなんて、そんなことは全くもってないだろう。
きっとあれは…真っ直ぐ自分の恋路を見守ると言ってくれたエルヴィンの優しさだと…そう思う。


エマは短い時間でエルヴィンの言葉をそう解釈したのだった。



「そんなことあるわけないじゃないですか…私がちょっと強がっていたのを心配してくれてただけですよ。」

「そうか?あいつは腹ん中じゃ何考えてるか俺にも未だに分からん時があるからな…」

「エルヴィン団長はそんなことしないです、絶対に!」


語気を強めたエマにリヴァイは一瞬目を丸くしたが、すぐに眉間に皺を寄せ不機嫌そうなオーラを強めたのだった。


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